私に作られた仮定と、私が作られた過程。そんな架空の作り話。

この話は、私に作られた仮定から始まって、私が作られた過程につながります。そんな私が作った架空の話。私は私に近しい私。ワタシアタシワタクシ。だけど、あくまで近しい存在。

【私】

どこから見ても、私。

上から見たら、私。右から見ても、私。左から見ても、やっぱり私。だけど下から見たら、どうか私ではなくなっていて欲しい。そんな夢ばっかり見ていた、当時高校三年生。下着を履かないで学校に行ってみたら、何かが変わるかな。なんて儚い夢。夢のまた夢は、目覚めてもまだ夢の中。そんなことはきっと有名。なんて夢みたいな夢。

ユウメイムジツ。そこには夢も現実もない。だってアタシはいつだって、ヒキコモ…ゴモ。

人生のモラトリアム。

話は逸れたけど、私は受験生。受験生だけど、勉強しなかった。受験生だけど、大学に行きたくなかった。自分が大嫌いだった。だから、この機会に、俗世から一時的に姿を眩ませられるこの期に、高校を卒業してから大学に入学するまでのわずかな猶予期間の中で、最後のチャンスをつかんで、そんな自分が大嫌いな自分を変えてしまいたかった。

自分を変えてから、大学に行きたかった。そこからスタートしたかった。全ての始まりの準備を整えてから。何事も準備が肝心。と先人は言う。きっと仙人も言う。たぶん千人くらいは言ってる。
でも、始まりには準備が肝心。人生の始まりならなおさら。生まれる前、私はきっと準備を怠った。だからこんなザマに。神様、仏様、貴様。表現は様々。何様か知らないけど、この私はこんなザマ。

準備万端になってからという言い訳。

少し話がそれた。剃りすぎた。調子に乗って剃りすぎた眉毛。それが生え揃うまで、準備万端とは言えない。だから待つ。まだ勉強はしない。準備が整ってから勉強は始めるよ。そんな言い訳ばかりしていた。言い訳に言い訳を重ねて、自分が自分でいられる理由を作り上げていた。言い訳に都合の良い訳を織り交ぜて、自分が自分でいられる土台を作り上げようとしていた。そんな土台作りに必死だった。

だって私は脇役ですもの。脇を固めるのが仕事ですもの。私の世界の主役が私ならば、この世界の主役は誰なの。この世界は誰の世界なの。私の世界とは違うの。私が見ているんだから私の世界じゃないの。それも私の自由なんだよ。自由という名の檻だよ。無力だね。無実だよ。故実だね。こじつけだよ。

いいわけ。言い訳。良い訳。

勉強道具ばかり揃えて、いざ勉強が始まらない。勉強計画ばかり立てて、いざ勉強が始まらない。そして勉強せずに時が過ぎるから、勉強しなかったいいわけを考える。勉強しないために頭使ってさ。頑張らなかった言い訳を頑張って考えてさ。恋をするとすべてから解放された気になるから、人を好きになったりしてさ。気付いたらそれはただの逃げで、恋に依存してたりしてさ。恋に恋するのは辛くて悲しくて。人を好きになるのが怖くなってさ。人を好きにならないために嫌いになってさ。非の打ち所のない言い訳を探し続ける日々。非の打ち所がなくても、言い訳は所詮言い訳。言い訳は言い訳にすぎない。言い訳は良い訳にならない。そう気付いたのはいつだったろう。気付けなかったのは何故だろう。気付いたことにしたのはいつだったろう。気付こうとするのをやめたのは何故だろう。

優越感で劣等感を打ち消したい。

そして突然、医学部に行きたいとか言い始めたんだ。理由は、自分を変えたいから。良く言えば、調子を上げたいから。悪く言えば、調子に乗りたいから。医者になりたいとか決めてみたんだ。理由は、自分を変えたいから。医者になれば、自分を変えられるとか思っていた。調子が上がると思っていた。問題が解決すると思っていた。いや、問題が解決するってことにしておきたかった。医学部に行けば、周りから違った目で見られると思っていた。調子に乗れると思っていた。優越感に浸れると思っていいた。優越感は、劣等感を打ち消してくれるものだと信じていた。

医者にはなれても、異者にはなれない。

医学部に行っても、劇的に何かが変わるわけでもないのに。卒業しても医者になるだけなのに。医者にはなれても、異者にはなれないのに。自分は何も変わりはしないのに。そんなことわかっていたはずだった。わからないふりをしていただけだった。今振り返ってみたって、そう思いたいだけだったんだなってわかってる。私は医者ではなく、異者になりたいだけだったんだ。プラスを増やして、これまでのマイナスを打ち消したかった。プラスとマイナスの相殺は、出来ない場合があることなんて知らずに。

そんなへんな理屈ばかり考えていた高三の夏。

夏休みも終わりに近づき、残り十日といったところ。私はたしか18歳の誕生日を迎えていた。生まれる準備をせずに生まれてしまったあの日を誕生日とするならば、その日は私の誕生日。だけどそこで生まれたのは、あの頃の私。今の私はまだ生まれていなかった。だからそれは、今の私が生まれた日よりも前の出来事。突然、担任の先生が亡くなったというメールを受信したのだった。誰から受信したんだろうか。何故か覚えていない。まったく思い出せない。なんだかとても素っ気なかった。あんなメールを打つのは、誰だろうな。素っ気なくしか送りようがなかったのかな。夏休みが終わって登校したら、ほんとに突然、担任の先生が亡くなってたんだ。まさかそんなに早く死に直面するとは思っていなかった。まさに生まれる準備をしているところだったのに。生まれると同時に死の準備を始める予定だったのに。生まれることが死の始まり。生と死が繰り返されるのだとしたら、生まれることは死の終わり。死と死のつなぎ目が生。動と動をつなぐのが静。静の連鎖が動いて見えるように、生の連鎖が死に見える。

女の先生が嫌いだから、男の先生が好き。

先生とは、進路面談とかしたばっかだったっけ。私は基本的に男の先生が好きだったから、いや、私は基本的に女の先生が嫌いだったから、だから、私は仕方なく男の先生が好きだったから、その先生はあまり好きではなかった。久々の女の先生だったから。

世の中には男と女しかいないからね。どちらかを嫌いになってみるといい。きっとどちらかが好きになる。それに人生には未来と過去しかないからね。過去を嫌いになってみるといい。きっと未来が好きになる。

そんなへんな理屈は簡単に崩れた。損な屁理屈。だって過去と未来の間に今があった。男と女にの間にも人がいた。ジェンダーレス男子はわりと好き。好きと嫌いは相対的なものでもなかった。それに、相対評価は嫌い。相対評価なんかするから卑屈になる。絶対評価してよ。絶対、私を評価してよね。

何も思い出せない進路面談。

あの日は、進路面談の日で、私が最後に先生と話した日でもあってた。私は、突然医学部に行きたいとか言い出した。その時先生は何を思ったんだろう。私にどんなことを言ったんだっけ。何も言わずにこっちを見ていたんだっけ。いったい全体どんな顔をしていたんだっけ。何も思い出せないよ。たぶん何も思い出すつもりがないよ。何が何だかもわからない。何が何だか、もうわからない。私はいつも人目ばかり気にしてるのに、いつも自分の事ばかり考えている。自分を写す人目を気にして、人目に写った自分を見る。そんな自分が嫌いだった。

先生に期待するのは贅沢かな。

だけどある時気付いた。それは嫌いに見えただけなんだ。ほんとは自分が好きなんだ。世の中には自分と他人しかいないから、他人を嫌えば、自分が好きになる。またひどい理屈。卑屈すぎて非理屈。自分を嫌えば他人が好きになる。それが相対評価の残酷さ。やっぱり、あまり真剣に面談なんかしてなかったな。そんなことも、先生には伝わっていたのかな。心を塞ぎきっているのが見え見えだったのかな。それをなんとかしてくれる気すらなかったのかな。そんなこと求めたりするのは贅沢かな。先生に期待するのは贅沢かな。だけど今となっては、そんなことをもう聞いたりできないんだな。もともとそんなこと言う気なかったけどな。もともとそんな勇気なんてなかったしね。

冷たい人間の仲間入り。

なんか、なにもかもが現実として捉えられない。なにもかもを現実として捉えきれない。現と実で現実なんだから、ユとメでユメなんでしょう。だからどうしたっていうのかもわからない。思えば初めて死に直面したのは、今の私が生まれる遥か昔、中1のときだったと思う。当時のクラスメイトが、交通事故で亡くなったんだよ。ディズニーランドに、一緒に行くはずだったんだ。そんな約束をしていたはずだった。だけど行けなかった。行けなくなった。そのとき私は、どんな気持ちだったんだろう。そのときの気持ちが、まったく思い出せない。思い出せないのは、何も思っていなかったからか。私がまだ生まれていなかったからか。それとも、何も思えなかったからか。ただ単に、昔の私が冷たい人間だったからか。あるいは、今の私が冷たい人間だからか。冷たい人間ってクール。クール。クーラー。クーレスト。なんか。へんだ。へんですよ。

支離滅裂で尻切れトンボ。

そんなこんなで私は、大学受験をやめてしまうのです。やっぱりシリメツレツ。尻がめっちゃ裂けたみたい。きっと自転車に乗りすぎ。まるで尻が切れたとんぼのように、この話は途切れるのです。

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【君】

私の知ってる、君。

君は背が小さくて可愛い。皆、君のことを可愛いっていう。
私から見ると君。あの子から見ても君。だけど、君から見たら君じゃない。君が君でなくなる。

井の中の蛙よりも狭い世界。

君は小さい頃からなんでもできた。他の人にできることで、君にできないことはないと思っていた。実際そうだった。私達は井の中の蛙なんかよりも、ずっと狭い世界で生きていたから。大海なんて知る由もなかった。

都合の良い君だけ美化して、都合の悪い君は微化。

だけどちがう。ほんとはちがう。ちがうちがうそうじゃない。君はそんな君ではなかった。できないことだってあったし、常に劣等感を抱いていたんだ。君は君じゃない、周りが君を作りあげているだけだった。本当は、君はもっと臆病で、脆くて、弱かったはずだ。過去の君が、今の君を美化しているだけだ。都合の良い君だけ美化して、都合の悪い君は微化してしまう。

君は、頭のいい子。愛想のいい子。

先生ってさ、できない子のことは心配してかまってくれるんだけど、できてしまう子のことは心配したりしてくれない。ほんとはもっと心配してあげるべきだった。できてしまうということを。そうすれば君は壊れずに済んでいたかもしれない。君は、いい子だった。頭のいい子。飲み込みのいい子。成績のいい子。愛想のいい子。

君は、ほっといてもいい子。

どうでもいい子。ではなかったかもしれない。だけど、ほっといてもいい子になっていた。いい子だねって言われるのが嫌になってきて。変わってるねって言われるのが嬉しくなってきた。変わってると、かまってくれるから。そして、君は変わった。君は君をついに変えた。変わった子になろうとし始めたんだ。

変える君。変わる君。

いい子になればいいのか、変わった子になればいいのか、どんな期待に応えればいいのかわからなくなって。今まで他人のために生きていたことに気が付いた。他人の期待に応えることが生きるってことだったから、他人の期待がなくなると生きる目標を見失ってしまった。"生きる=期待に応え続ける"ではなくなって、"生きる"という意味がわからなくなった。そこで、自分を見失ったんだ。君は君でなくなるが、君が君であるために、君は君をつくりだす。きっとそうだね。君は君のための君なんだ。そのとき君は、指向を変えたと同時に思考を変えた。

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【君と私】

そして君は、私と一緒になった。

私は小さい頃からなんでもできた。他の人にできることで、私にできないことはないと思ってた。実際そうだった。私は井の中の蛙なんかよりも、ずっと狭い世界で生きていたから。大海なんて知る由もなかった。

ちがうちがう。そうじゃない。

ちがう。ほんとはちがう。私はそんな私じゃなかった。できないことだってあったし、常に劣等感を抱いていた。今の私が過去の私を作りあげているだけだ。本当は私はもっと情けなく、脆くて弱い私だったはずだ。今の私は過去の私を美化しているだけだ。都合の良いことだけ美化して、都合の悪いことは微化してしまう。

ほんとはもっと心配して欲しかった。

先生ってさ、できない子のことは心配してかまってくれるんだけど、できてしまう子のことは心配したりしてくれない。ほんとはもっと心配して欲しかった。できてしまうということを。そうすれば私は壊れずに済んでいたかもしれない。私は、いい人だった。頭のいい人。飲み込みのいい人。成績のいい人。どうでもいい人。ではなかったかもしれない。だけど、ほっといてもいい人になっていた。

いい人が嫌になって逃げ出したんだ。

いい人だねって言われるのが嫌になってきて。変わってるねって言われるのが嬉しくなってきた。そして、私は変わった。変わった人になろうとし始めたんだ。いい人になればいいのか。変わった人になればいいのか。
どんな期待に応えればいいのかわからなくなって。今まで他人のために生きていたことがわかった。"生きる=期待に応え続ける" ではなくなった。"生きる"という意味がわからなくなった。自分を見失ったんだ。だから大学受験からも逃げ出したんだ。

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